解体工事で使う重機は？サイズや種類、購入費用を紹介

解体工事をスムーズかつ安全に進めるには、重機の活用が欠かせません。

この記事では、解体工事に使われる重機について、その種類やサイズ、購入費用、さらに導入の際の注意点を詳しく解説します。

解体　重機とは

建物の解体現場では、重機を使うことで大幅な作業効率アップと安全性向上が期待できます。

ここでは、解体工事において重機が担う役割や、基本構造、現場全体に及ぼすメリットなどを順に見ていきましょう。

解体工事における重機の役割

解体工事では、コンクリートや木造など多様な建造物を効率よく壊して撤去する必要があります。

このとき、人力だけでは対応しきれない規模や重さの物体を処理できるのが重機の大きな強みです。

具体的には、壁や柱などを精密に崩し、廃材をまとめて運搬・積み込みする作業を短時間でこなし、かつ怪我や事故リスクを下げられます。

また、重機を使うことで建物の倒壊方向をコントロールしやすくなり、周囲の構造物や人への被害を最小限に抑えることが可能です。

重機の基本的な構造と仕組み

解体で使われる重機の多くは、油圧を動力源としています。

エンジンやモーターによってポンプを稼働させ、高圧の油をアームやバケット、シリンダー部分へ送り込むことで、アームを動かしたり掘削したりといった作業を行える仕組みです。

油圧式の特徴は、小さな操作レバーの動きが大きなパワーに変換される点にあります。

解体工事用に特化したアタッチメントを装着することで、コンクリート破砕や鉄骨切断などの作業をスムーズに行うことができます。

本体構造やキャタピラ部分も頑丈に設計されており、激しい振動や衝撃にも耐えられることが特徴です。

解体　重機のサイズ選び

解体工事に使用される重機は、サイズやクラスによって性能や用途が異なります。

ここでは、重機のサイズの分類と特徴、さらに現場での選定基準や具体的な選択事例について解説します。

重機サイズの分類と特徴

解体重機を大まかに分けると、小型（数トン級）、中型（10トン前後）、大型（20トン以上）といったクラスが存在します。

小型クラスは機動力に優れ、狭い現場や住宅街での細かい作業に対応しやすいのが特徴です。

一方、大型クラスはパワーとリーチが強みで、高層建築や頑丈な構造物の解体を得意とします。

中型クラスは、小回りと適度なパワーを両立しているため、さまざまな規模の現場で汎用的に使われることが多いです。

こうしたクラスごとの特徴を把握しておくと、解体現場に最適なサイズを選ぶ指針になります。

解体現場におけるサイズ選定のポイント

重機のサイズを選ぶ際は、まず解体する建物の規模と構造を考慮する必要があります。

例えば、3階建て程度の木造住宅であれば小型〜中型クラスのショベルで十分な場合がありますが、鉄骨造やRC造の高層建物には大型クラスが必要になることが多いです。

また、解体現場の立地条件も重要です。

道路の幅や近隣との距離に制約がある場合、無理に大型重機を持ち込むと作業スペースが確保できず、かえって非効率になることもあります。

こうした条件を複合的に検討し、最終的にオペレーターと相談しながらサイズを決定するのが一般的です。

小型クラスから大型クラスまでの選択事例

小型クラス（約5〜8トン）は住宅街など周辺環境への影響を最小限にしつつ、狭い路地でも機動力を発揮できます。

中型クラス（約12〜18トン）は、ビルの1フロア分ほどの高さまで対応でき、作業範囲が広い点が魅力です。

さらに、大型クラス（20トン以上）になると、頑丈な構造物や4〜5階建て程度の建物にも対応可能です。

ただし、大型になるほど輸送コストや設置スペースが必要になるため、現場の状況に合わせた最適な選択が欠かせません。

実際の例として、敷地が広い郊外の解体現場では大型重機が活躍し、密集地帯では小型〜中型を複数台導入するといったケースも見られます。

代表的な重機の種類

解体工事で使われる重機には、オーソドックスな油圧ショベルのほか、ロングアームやツーピースアームなど、さまざまなバリエーションがあります。

特定の作業に特化した形状を持つものもあり、上手に使い分けることで解体効率が高まります。

油圧ショベル

油圧ショベルは解体・土木現場問わず幅広く活躍する、最も一般的な重機のひとつです。

バケットやアタッチメントを交換すれば、多目的に使える点が大きな魅力といえます。

たとえば、解体業ではクラッシャーやブレーカーなどを装着し、コンクリートを破壊したり鉄骨を切断したりする作業を効率化します。

サイズも豊富で、小型から超大型までラインナップがあり、建物の高さや材質に応じて選択可能です。

機動力と汎用性が非常に高いため、解体工事には欠かせない存在となっています。

ロングアームやツーピースアーム

通常のショベルアームよりも長さを重視して設計されたロングアームは、高所の解体作業に力を発揮します。

例えば、ビルの上部から順番に解体を行うときには、ロングアームによって高い位置までアタッチメントを到達させることが可能です。

一方、ツーピースアームはアーム部分が2つの関節で構成されており、狭い場所で自在に動く性質を持っています。

複雑な角度から壁や柱を崩したり、障害物を避けながら作業したりするときに役立ちます。

現場環境に合わせてロングアームとツーピースアームを使い分けることで、解体の効率を高められるでしょう。

マルチブームやその他の特殊重機

マルチブームは、ブーム部分に複数の関節を備えているため、高所から狭所まで柔軟に対応できるのが特徴です。

アームやバケットの角度を細かく調整できるので、複雑な構造の建物を解体するときにも有利と考えられています。

また、さらに特殊なタイプでは超高層建築向けに設計されたロングリーチ仕様や、狭い路地専用の小型旋回機などが存在します。

それぞれの特徴を活かせば、解体作業を効率化しつつ安全性も確保しやすくなるでしょう。

施工規模や現場の状況に応じて、こうした特殊重機の導入を検討することは大切です。

重機の購入費用と導入の注意点

解体重機の購入やリースを検討する場合、費用の目安や維持コスト、さらに導入時に必要な手続きも押さえておく必要があります。

適切に予算と管理体制を整えれば、長期的に安定した運用が可能となるでしょう。

重機購入費用の目安

重機の購入費用は、サイズやメーカー、スペックによって大きく変動します。

例えば、0.45m³クラス（12トン前後）の油圧ショベルでは数千万円からの価格帯が多い一方、1.0m³クラス（25トン前後）以上になるとさらに高額になるとされます。

ロングアームやマルチブームなど特殊仕様の機種は、標準モデルに比べて割高となる場合が一般的です。

なお中古車両であれば、新品よりもコストを抑えられる可能性がありますが、メンテナンス費用を考慮する必要があります。

目安としては、0.45m³クラスなら3,000万円〜5,000万円、より大きなクラスや特殊アタッチメント付きは5,000万円〜1億円程度など、幅があるようです。

維持費や保管コストについて

重機を所有すると、導入時の購入費用だけでなく定期的な点検や消耗品交換、保険料、燃料費などの維持費が必要になります。

これらの費用は稼働年数と使用頻度によって変動し、長期運用ほど整備コストも蓄積される点を考慮する必要があります。

また、保管場所の確保も不可欠です。

重機を雨ざらしにしておくと劣化しやすく、故障リスクも高まるため、専用の屋根付き倉庫や広いヤードを用意しなければなりません。

こうした維持・保管のコストも総合的に見た上で、購入かレンタルかを検討すると良いでしょう。

導入時に押さえておきたい法的手続き

重機の導入にあたっては、労働安全衛生法やクレーン等安全規則など、関連する法律と規制を確認する必要があります。

特に、一定規模を超えるクレーンやショベルを運用する場合は、行政への申請や定期検査を受ける義務が生じるケースがあります。

また、解体現場周辺への騒音・振動対策として地方自治体が独自に条例を設けている場合もあるため、事前の情報収集が欠かせません。

違反すると重機の使用停止や罰金などのペナルティが課せられる可能性もあるため、導入段階でしっかり手続きを踏むことが大切です。

安全と法令遵守は、工事全体の信用にも直結します。

解体重機を扱う際の安全管理

解体に使用する重機は非常にパワフルなため、適切な安全管理を行わなければ大きな事故を引き起こすリスクがあります。

そのため、オペレーターの資格の取得や入念な安全対策、定期的な点検が不可欠です。

重機オペレーターの資格と教育

重機を操作するには、車両系建設機械運転技能講習などの資格取得が義務付けられています。

特に、解体用アタッチメントを使用する場合は車両系建設機械でも「解体用」の特別教育を受けるなど、追加の手続きを要するケースもあります。

安全教育や操作訓練を定期的に実施することも大切です。

新規導入の重機やアタッチメントがある場合は、マニュアルを読み込んだうえで実際に試運転を行い、操作に慣れてから本番作業に入らなければなりません。

オペレーターの経験と知識が、現場の安全を支える大きな要素となるでしょう。

現場での安全対策と注意事項

解体現場では、常に墜落や転倒、落下物などの危険と隣り合わせです。

周囲に人や車両が出入りする場合、重機の旋回範囲や死角に人が近づかないよう、誘導員を配置することが望まれます。

また、建物の倒壊方向を計画的にコントロールするため、作業手順の事前共有や綿密な打ち合わせが不可欠です。

雨天時など視界が悪いときは転倒リスクが高まるため、臨機応変に作業を中断する判断も重要となります。

定められたヘルメットや防護具の着用はもちろん、周辺住民への安全周知も大切です。

メンテナンスと定期点検の重要性

解体重機は高負荷作業が多く、日常のメンテナンスや定期点検を怠ると不具合が生じやすくなります。

例えば、油圧ホースの劣化やバケットの摩耗を放置すると、突発的な故障が現場の大きなトラブルにつながるかもしれません。

メーカー推奨の点検項目に沿ってオイル交換や部品交換を行うことで、機械の寿命を延ばし、安全性を高められます。

点検記録を残し、作業途中の異音や油圧低下などのサインを見逃さないことも重要です。

メンテナンスを徹底することで、工事の進捗を安定させるだけでなく、余計なコスト負担も抑えられるでしょう。

まとめ

解体工事において重機の選定や運用は極めて重要で、現場の安全性と作業効率を大きく左右します。

重機には大小さまざまなクラスや種類があり、建物の規模や立地条件、解体手法などに合わせて最適なものを導入することが求められます。

油圧ショベルやロングアーム、ツーピースアームといった機種をうまく使い分ければ、高所作業や狭いスペースの解体も効率よく進められるでしょう。

購入費用は決して安くありませんが、運用計画や法令遵守、定期的なメンテナンスを徹底することで、長期的には安定した解体業務へとつながります。

重機オペレーターの教育や資格取得、安全対策の徹底も欠かせません。

これから解体工事を検討される方は、まずは信頼できる業者や専門家への相談のうえ、最適な重機選びと安全管理を検討してみてください。